中でも人気者のオランウータン。その個体数は、過去100年で全体の20%に減少しました。原因は生息地である熱帯雨林の破壊。アブラヤシのプランテーションを中心に、土地利用のために生息地である森林が壊され、住処を追われてしまいました。私は今回、旅の途中でオランウータンの保護リハビリ施設を訪れました。オランウータンは農家にとってはパームの実を食べてしまう獣害。実を食べるオランウータンを殺し、赤ちゃんは殺すのがかわいそうなのでペットとして、鎖を繋いで家に縛り付けるということが起きています。この施設ではそういった個体を保護、野生へ返すトレーニングをしていました。保護施設には観光客がたくさん。海外からの関心の高さが伺えます。ただ、私が思うのは、そこの人々の暮らしがあってこその共生なのではないかということです。オランウータンを保護、野生復帰させることはもちろんとても素敵なことで、今必要なことです。そして意義が分かりやすい。しかしながら、それはあくまでも対処療法。そもそもの生息地が破壊されていく原因を無くさなければ、永遠に減少していくのでしょう。人々はそれが儲かるから熱帯雨林を伐採し、大規模なアブラヤシのプランテーションを作ります。農家を責めることはできないなと思うのです。農家の暮らしがかかっているのですから。しかしこれをやり続けたらどうなってしまうのでしょうか。経済と意義の両立がこんなにも難しいものなのだろうかということを考えさせられます。