武田瑞季が行く!#5 ボルネオの自然 編

kurumiru/ 8月 29, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

今回も前回に引き続きボルネオ島のレポートです。優しく陽気な人々ももちろん魅力的ですが、私は中でも豊かな自然にボルネオ島の魅力が詰まっていると感じました。その様子をご紹介します。まず日本とはそのスケールが桁違い!自由の女神と同じくらいの背丈がある大木に、人間の体ほどある大きな葉っぱ。生命の不思議です。

光が差し込む綺麗な川。
私の全身よりも大きな葉っぱ!大興奮でした。
規模がとにかく巨大です。熱帯雨林では高い木を支えるために板根という板状の根っこを形成します。この根っこ一枚だけで私よりも大きなサイズのものも。スケールに圧倒されました。

豊かな自然には豊かな生き物たちが住います。

人喰いワニのクロコダイル。鋭い目つきがたまりません...!
ボルネオの生き物といえばオランウータン!人間のような行動がとてもキュートです。

中でも人気者のオランウータン。その個体数は、過去100年で全体の20%に減少しました。原因は生息地である熱帯雨林の破壊。アブラヤシのプランテーションを中心に、土地利用のために生息地である森林が壊され、住処を追われてしまいました。私は今回、旅の途中でオランウータンの保護リハビリ施設を訪れました。オランウータンは農家にとってはパームの実を食べてしまう獣害。実を食べるオランウータンを殺し、赤ちゃんは殺すのがかわいそうなのでペットとして、鎖を繋いで家に縛り付けるということが起きています。この施設ではそういった個体を保護、野生へ返すトレーニングをしていました。保護施設には観光客がたくさん。海外からの関心の高さが伺えます。ただ、私が思うのは、そこの人々の暮らしがあってこその共生なのではないかということです。オランウータンを保護、野生復帰させることはもちろんとても素敵なことで、今必要なことです。そして意義が分かりやすい。しかしながら、それはあくまでも対処療法。そもそもの生息地が破壊されていく原因を無くさなければ、永遠に減少していくのでしょう。人々はそれが儲かるから熱帯雨林を伐採し、大規模なアブラヤシのプランテーションを作ります。農家を責めることはできないなと思うのです。農家の暮らしがかかっているのですから。しかしこれをやり続けたらどうなってしまうのでしょうか。経済と意義の両立がこんなにも難しいものなのだろうかということを考えさせられます。

ビルの多い東京に住んでいると、人と自然がともにあるという事を忘れてしまいます。都会の街路樹や観葉植物を見ると、自然はあくまで人の目を癒す存在であるかのように感じてしまう自分がいるのです。自然という偉大な存在を、まるで自分たちが管理できるかのように錯覚してしまう。自然の中に生き、自然とともにある、ボルネオの暮らしを体感すると、人間とは本来そういうものだったのだなと感じます。

新しい命の芽生え。

豊かな自然をこの先も繋いでいきたい。次の世代、その先の世代にも繋げていきたい。そう願うばかりです。

2023年8月23

武田瑞季

前回の武田瑞季が行く!#04「ボルネオの暮らし編」はこちらからご覧いただけます。

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