Coen.mg/ 12月 27, 2024/ 武田瑞季が行く/ 0 comments
武田瑞季が行く#5
※災害の写真が出てきます。今年の1月1日、元旦に起きた大きな地震、そして9月21日に起きた水害。今もなお復興の真っ只中にある石川県の能登に行ってきました。日本サステイナブルレストラン協会(SRAJ)の活動に参加する機会をいただき、平瀬祥子シェフパティシエ、加藤峰子シェフパティシエ、上田愛シェフパティシエと一緒にスイーツの配布をしました。
石川県へ向かう新幹線の中では不安と緊張を感じていました。ずっと何かしたいとは思っていたものの、私は能登の方々の心にちゃんと寄り添うことができるのだろうかという不安がありました。現地に行くことでかなり悲しい現実を目にすることになると思います。年明けに起きた地震、そのあと立て続けに起きた水害、立て直してやっていこうとしていた最中またも崩される現実を目の当たりにしてどんな気持ちなのか、想像もできないほど相当心が疲弊しているのではないかと思いました。そんな中あまり悲しい顔をされても気持ちのいいものではないのではないか、どんな顔をして接すればいいのか、私に何が出来るのだろうという思いでした。
今回活動したのは町野町と輪島市。金沢駅から車で3時間程の場所です。金沢駅から車で現場に向かう道中も地震の影響を感じました。今回の地震で大きいところでは4mも地面が隆起してしまったそうで、高速道路も隆起しているところや陥落しているところが多々ありました。北上すればするほど倒壊した家屋が目についてきます。最初に町の様子を見たときは正直、1年経ってもこんなに残っているのかと感じました。被害の様子は家によって様々で、瓦が剥がれ落ちている家、斜めに歪んでいる家、潰れてぺしゃんこになっている家もあります。5月までは全く手をつけられずにそのままだったそうでこれでも瓦礫の撤去などが進んだ方なのだと言います。
1日目は町野町の仮設住宅の公民館でスイーツの配布をしました。町野町はSRAJの会員である富成さんがある場所です。富成さんは避難所での炊き出しを450人分1日3食作り続け、町野町の避難所での炊き出しが終了した後も輪島市の避難所を引き継いで7月末まで炊き出しを続けられました。ご自身も車中泊をしながらの活動だったそうで毎日この量の料理を振る舞うのは相当な苦労だっただろうと思います。今回はホットチョコレート、ビスケット、ガトーショコラ、テリーヌショコラ、焼きもなかを配布しました。今回のスイーツのテーマはチョコレート。チョコレートを食べると幸せホルモンと呼ばれる脳内物質が分泌されるため、精神を安定させたり、ストレスを軽減したりする効果があるのだそうです。幸せな気持ちになってほしいという願いからのテーマでした。ホットチョコレートには加藤峰子シェフパティシエがCo・En Corporation のバニラビーンズをたっぷり入れてくれていました。町野町の仮設住宅にはご高齢の女性の方が多く、公民館は一気に女子会のような雰囲気に。〇〇さん〜! こっちこっち! といった具合に賑やかな様子でスイーツを楽しんでくれました。美味しいわぁっておばあちゃん達のかわいい笑顔が何よりも嬉しかったです。その和やかな様子に仮設住宅という狭いスペースでの暮らしは隣の人とかなり近く窮屈な思いをするだろうなと思いつつも、人と人との繋がりを生んでそれが支えになる側面もあるのかなと思った時間でした。
2日目は輪島市のHosibosicofeeさんでスイーツの配布、販売をしました。販売分の売り上げはHosibosicofeeさんとへぐら屋さんに支援金として全額寄付されます。へぐら屋さんはイカを使用した発酵調味料のいしるを扱うお店で、店舗と工場が被災しながらも、前を向いて立て直しに向けて現在クラウドファンディングをされています。ぜひ覗いていただけると嬉しいです。Hosibosicofeeさんの店舗は幸いにも災害に耐え現在も営業できています。とても素敵な佇まいで常連さんも多く、地域の人がほっとする場所になっていることが伝わってきました。お店に来る方々皆さんが知り合いで、おー! 元気にしてる? と会話が始まるのが素敵だなと思いました。当日は寒い中、多くの人が訪れてくれました。友人や家族にあげるようにたくさん買って行ってくれる方もいました。町の人達が美味しいスイーツを食べて交流し、笑顔になっている様子を見ることができて、あぁ、来て良かったなと感じました。人と人とが寄り添い、繋がり、生きていることを感じた2日間でした。
前を向いて希望を見出せるようになるには人との交流が大事だと感じました。災害には災害で直接亡くなってしまう直接死の他に災害関連死というものがあります。地震後の疲労や心労が大きく身体的負担によるものもあれば、一人では背負いきれない現実の中で、生き残っても自ら命を絶ってしまう人もいるのだそうです。能登の災害では直接死よりも災害関連死の方が上回ってきており、今後も増える見込みとのことでした。仲間がいるということ、一人じゃないということ、交流が生まれる場所があることの重要さを感じました。過去から、今と未来を向けるように楽しみなことをつくったり、一緒に楽しんだりすることが私たちにできること、必要とされていることなのではないかと思いました。
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