アグロフォレストリー通信#34 生き物の居心地の良さをデザインする

Kurumiru/ 2月 25, 2026/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

昨今、生態学や農学の分野で「拡張生態系」という言葉が注目されています。これは人間が自然に手を入れることで環境を壊すのではなく、人間の活動そのものが自然のプロセスの一部となり、生物多様性や生態系の機能をより豊かに拡張していくという概念です。私たちが推進しているアグロフォレストリーも、まさにこの拡張生態系の実践です。私がアグロフォレストリーの最大の魅力だと感じているのは、人のために創り出した環境が結果的に生き物たちにとっての豊かな住処となり、それが巡り巡ってまた人間に豊かな恵みをもたらすという循環のシステムです。人間と生き物が共に豊かになる環境をどうデザインできるのか。それを考察する一歩として先日、鳥にとっていい庭とは? ということを考えながら庭づくりをしました。

巣箱を作成した様子。巣箱の入り口は直径の大きさが一ミリ違うだけで番う種類の鳥が入るのだそうです。

まず鳥にとっての食べ物がある場所を考えました。しかし、単に庭に餌を撒くことが鳥にとっていいとは限りません。ホームセンターに売っている鳥の餌ばかりだと栄養が偏ってしまうため、餌場を置くのは自然界の餌が不足する冬場に限定する必要があります。また小鳥は天敵(カラスや猫)から身を隠す場所を求めています。隠れ家になる茂み、常緑樹、鳥が好きな樹木、鳥にとって居心地のいい植物のデザインを考えます。それから水を飲んだり水を浴びたりする水場も作りました。また今回「僕には鳥の言葉がわかる」という本に触発されてシジュウカラ用の巣箱を5つ設置しました。

鳥が好きな木々をまとめた資料。

しばらく観察していると早速庭にアオジがやってきました。その後もヒヨドリ、メジロ…といった小鳥たちがやってきました。鳥が来ることを願ってつくった庭に鳥が来るとこんなにも嬉しいのか。そんな気持ちで、より身近に見かける鳥に敏感に反応するようになりました。この木があるから春にはこの鳥が来そうとか、この鳥は冬の渡り鳥だから春にはいなくなってしまうとか、鳥に注目すると四季の移ろいや楽しみをより豊かに感じられるように思います。さらに小鳥は庭木につく毛虫やアブラムシを食べてくれて、農薬を使わなくても鳥たちが庭の守り神になってくれます。また鳥がフンに混ぜて落とす種で庭がさらに豊かな環境になっていきます。庭に鳥を呼ぶことは、庭に小さな生態系を作ることなのだと思います。鳥のために創った場所が巡り巡って人間にも豊かな恵みをもたらすことを実感できた一歩でした。

シジュウカラの巣箱を設置する様子。使ってくれるのが楽しみです。

2026年2月25日
武田瑞季

前回のアグロフォレストリー通信#33樹木の活用はこちらからご覧いただけます。

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