アグロフォレストリー通信#33 樹木の活用
Kurumiru/ 1月 22, 2026/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
クロモジという木を知っていますか? 芳香のある木で柑橘のような清涼感のある爽やかな香りがします。漢字で書くと黒文字。由来は諸説ありますが、樹皮に黒い斑点が点々と現れる様子が筆で文字を書いたように見立てられ、クロモジと名付けられたとも言われています。日本固有の原生種で、古くから人々の間で親しまれてきました。葉っぱはお茶としても美味しく、枝はその清涼感ある香りから高級楊枝としても利用されます。歴史をさかのぼると千利休がクロモジの枝を削って客人に菓子を勧めたのが楊枝としての始まりだという話もあります。
千葉県にクロモジを専門で取り扱っている方がいらっしゃいます。クロモジに魅せられ、クロモジの研究のために大きな倉庫を自作し精油や茶葉を販売されています。ご縁があり何度か拠点にお邪魔しています。先日はクロモジ楊枝作りを体験させていただきました。楊枝作りの工程は簡単にいうと枝を楊枝の大きさに細かく切って先端をとがらせる作業なのですが、これが結構手間がかかります。まず山に入って楊枝作りに丁度いい太さの真っ直ぐな枝を収穫します。そしてその収穫した枝を1年間陰干しして乾燥させる必要があります。乾燥させた後ナタで枝を細かくし、その後ナイフで先端をとがらせます。これがかなり繊細な作業で、綺麗に尖った真っ直ぐな先端にするのはなかなか難しかったです。楊枝を作ることのできる職人さんは年々減っていっているそうで、その方はこの伝統と技術を次世代にも継承したいと毎月クロモジ楊枝作りのワークショップを開催しています。私も自分で作ったクロモジ楊枝を使ってみましたが高級感のある見た目と、口の中に広がる清涼感で、豊かな気持ちになりました。
その方の素晴らしいところは情熱を持ちながら、とても研究熱心なところにあるとつくづく感じます。春摘みと夏摘みでお茶の味を比較したり、葉を粉砕してパウダー状にしたり、花や実や頂芽の部分の活用を研究したり、染め物に使用したり、お一人でやられているのですがクロモジのことならなんでも知っているというほどです。里山の整備も一人で行いクロモジを育てています。Co・En Corporation ではクロモジパウダーを使用してクロモジバニラフィナンシェを作成しました。イベント等で販売すると美味しいと評判です。日本の森には素敵な植物や樹木の可能性がまだまだ眠っていると思います。原生種で様々な効能を持つクロモジ、伝統や文化を絶やさないようもっともっと広めていけたらいいなと思います。
2026年1月21日
武田瑞季
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