アグロフォレストリー通信#36 森の作り方

Kurumiru/ 4月 21, 2026/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

大学では、木材を生産する人工林のつくり方を学ぶことはありましたが、木材生産以外のことを目的とした森のつくり方を体系的に学んだことはありませんでした。日本でのアグロフォレストリーの実践を考えるにあたって、森のつくり方を体系的に学びたいと思い、岡山で森づくりの研修に参加してきました。

今回はアグロフォレストリーの中でも特に、「シントロピック農業(Syntropic Agriculture)」を学んできました。シントロピック農業は、スイス人研究者がブラジルで開発した、自然の森の遷移プロセスを模倣する再生型農業システムで、より自然の流れにそったやり方で森をつくる方法です。今回岡山にはニュージーランドからシントロピック農業の先生が来日しレクチャーしてくれました。日本ではまだ広がっていませんがシントロピック農業は世界的にも支持を集めている農法で、先生は世界200カ国以上で講義と実践を行っているそうです。

実施場所からの眺め。とても素敵な場所でした。

多層栽培をするところはマダガスカルのアグロフォレストリーと同じです。シントロピック農業の大きな特徴は、植物の光の必要量と成長速度を計算し、空間と時間を最大限に利用して、植物を高密度で配置するという点です。光の量と空間と時間、それぞれの樹木と全体の関係、考える要素が多く設計が複雑になる分、つくる森の立体構造を考える面白さが増します。

中でも私が驚いたのは、最初から、最終的な森の理想の形を考えて植え育てるのではなく、自然の遷移に沿うかたちで森を育てていくという点です。森林というものは長い時間をかけてかたちを変えて遷移していきます。裸地や荒れ地から、草地、陽樹林を経て、最終的にその土地の環境に最も適した陰樹林(極相林)となるのが自然のプロセスです。その遷移そのものをデザインするという視点が面白いと思いました。自然遷移の序盤である一年生植物が育っている段階は、次世代の中低木や高木が育つための準備期間にあたるため、Placenta(胎盤)期と呼ばれています。一年生植物やパイオニア植物と呼ばれる真っ先に生えてくる植物が地面を耕して、その後の植物が育つのを助けるため、その段階も必要なのだという理屈なのですが、私にはない視点だったためとても興味深かったです。

講義の様子。座学と実践を繰り返した充実した3日間でした。

自然をコントロールするのではなく、自然のプロセスに参加する。その手助けをする。それは生き物の環境をつくるときにも大事な視点だと思っています。人間が環境をデザインし、プロセスを後押しすると、驚くほど早く他の生き物たちが戻ってきます。そんな環境つくりを目指してこれからも自然に対する実践と学びを繰り返していきたいです。

シントロピック農業のやり方に沿って木々を植えた様子。どんなアグロフォレストリーになるのか今後の成長が楽しみです。

2026年4月21日
武田瑞季

前回のアグロフォレストリー通信#35厄介者を資源にはこちらからご覧いただけます。

アグロフォレストリー通信バックナンバーはこちらから。

Share this Post

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*
*

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.