Coen.mg/ 5月 18, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
アグロフォレストリー通信#05
前回はマダガスカルのアグロフォレストリーを紹介しました。アグロフォレストリーは世界中に見られますが、おもに熱帯地域で行われているものを指すことが多いです。今回はボルネオのアグロフォレストリーを紹介します。ボルネオ島はマレー半島とフィリピンの中間に位置し、インドネシアとマレーシア、ブルネイの3つの国の領土となっており、世界で3番目に大きい島です。ボルネオではアブラヤシから採れるパーム油の生産が盛んで、アブラヤシのプランテーションが多く存在します。パーム油という言葉はあまり聞き慣れないですが、日本では植物油という名前でカップ麺、ポテトチップス、チョコレート、アイスクリーム、洗剤や化粧品まで、安価で使用しやすいため多くのものに使われています。ぜひ品質表示に見つけてみてください。世界のパーム油生産量を見ると、全体の83%をインドネシア(58%)とマレーシア(25%)が占めています。(出典:World Markets and Trade 2022年)
このアブラヤシを植えるために、森林を伐採し、農地を作ります。実はそこには大きな問題点があります。熱帯林の焼失アブラヤシの農地を作るために、元ある熱帯林を焼いて、農地を作ります。そのため、貴重で豊かな熱帯林が失われていきます。泥炭地の破壊土壌の多くは泥炭地です。泥炭地は炭素を多く含んでいます。通常泥炭地は水に沈んでいますが、アブラヤシを植えるために水を排出するため泥炭地が露出します。泥炭地が露出し、開墾されることにより大量のCO2が待機中に排出されます。野生生物の減少熱帯林を破壊してプランテーションにすることで、野生動物の生息地が減少します。オランウータンやボルネオゾウなどが、熱帯林の破壊によって絶滅の危機に瀕しているという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。人への影響先住民がアブラヤシ農地開拓のために、住居を失うこともあります。そして、児童労働など、農家が低賃金で搾取される構造もあります。土壌への影響アブラヤシの生産を繰り返すことで、土壌の養分はどんどん少なくなります。そのため化学肥料を追加して土壌の栄養を保ちます。化学肥料に頼りすぎると、土中の微生物が失われ、微生物によって成り立っていた土中の生態系が崩れて、土の保水力や保肥力を失います。また植物が吸収仕切れなかった分は地下水に流れて、環境を汚染します。このように多くの問題をはらむアブラヤシのプランテーションですが、農家の収入源となっているのも事実です。一方的に森を保護すると主張するのではなく、そこに暮らす人々が森と共に暮らしていく術を考えることが大切だと思います。農家の収入源になりつつ、森を守ることができる方法としてアグロフォレストリーがあります。実は私は今、実際にボルネオ島のアグロフォレストリーを見に訪れています。来月のレポートでは、現地の様子を配信するので、ぜひお楽しみに…!
2023年5月18日武田瑞季
前回のアグロフォレストリー通信#04「マダガスカルのアグロフォレストリー」はこちらからご覧いただけます。
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