アグロフォレストリー通信#6 ボルネオのアグロフォレストリー 後編

kurumiru/ 6月 28, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

前回はボルネオ島の熱帯雨林の現状を紹介しました。

今回はCo・En Corporation 武田が、実際に見てきた現地のレポートです。多くの問題をはらむアブラヤシの大規模なプランテーション。それに取って代わるかたちで、農家の収入源になりつつ、森を守ることができる方法としてアグロフォレストリーがあります。

ボルネオ島には日本にはない、様々な種類の木が生えています。その中で私たちが注目したテンカワンという大木。その木の実、イリッペナッツからはカカオバターのような、融点が高いイリッペバターが取れ、化粧品や食品に利用できます。私たちはその木の実に、このボルネオのアグロフォレストリーを守ることができる希望を見出せるのではないかと思い、ボルネオ島に向かいました。

持続可能なパームオイルを使用し、緑の回路などボルネオの環境保全に対する活動をされている、SARAYAの中西さんにご一緒させていただきました。

道中のアブラヤシの農園。このような景色が永遠に続いています

コタキナバルから飛行機と車を乗り継いで約3日、一面のアブラヤシ農園の奥に、ひっそりとその村はありました。人口300人程の小さな村です。

今回お世話になったナヤウさん一家。あたたかくて素敵なご家族でした。ご一緒させていただいたSARAYAの中西さんと。

早速アグロフォレストリーを見せていただきました。すると、どうでしょう。木々が多種多様に生い茂る様子はまさに森のよう。その美しさに感動しました。2世代前、おじいさんが創ったアグロフォレストリーを代々引き継いでいるとのこと。約60年という年月を経て伸び伸びと高く育った木々たちに感動です。

農園の入り口。すでに木々や草木が生い茂っています。

農園にはマンゴーやパイナップル、ドリアンといった私たちにも馴染みのあるフルーツから、キャッサバ、ゴムの木、コーヒー、固有の果物や木の実、山菜などたくさんの作物が茂っていました。魚の養殖場もありました。

今回農園を見せてくれたナヤウさん。一つひとつ丁寧に説明してくれました。
木々が生い茂り川が流れる様子はまさに森のよう。

農園を進んでいくと、その中程に、一際存在感を放つ大木がありました。「これがテンカワンだよ。」太い太い幹を見上げると頭上40mほど上に木のてっぺんが見えます。その大きさと壮大なオーラに圧倒されました。なるほど、豊かな森の象徴と言われる理由がわかりました。

一際存在感を放つ、豊かな森の象徴。テンカワン。

この豊かなアグロフォレストリーの恵みとして、今回はイリッペバターだけでなく、ココナッツオイル、ココナッツシュガー、アレンガシュガー、ククイナッツオイル、バーベラオイルを持ち帰ってきました。

村の村長さん。自分たちの森と、村の未来に対する想いを熱く語ってくれました。

村長さんは言います。「この先祖代々受け継いできた森を、これからもずっと守っていきたい。しかし、子供達を学校に通わせたりするのに、お金は必要だ。私たちの村にも危機が迫っている。政府がいつこの森を買収してアブラヤシの農園にするか分からない。」と。
豊かな森の象徴、テンカワンがそびえたつ美しい森をこの先も守っていきたい。アブラヤシではなく、この豊かな資源を収入源にすることでこの森を守って行けたら・・・。そう強く思いました。

2023年6月27日
武田瑞季

前回のアグロフォレストリー通信#05「ボルネオのアグロフォレストリー 前編」はこちらからご覧いただけます。

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