ジコマンの先

Coen.mg/ 10月 25, 2024/ Newsletter/ 0 comments

Connect & Enjoy #036

とにかく忙しかった9月からの1ヶ月半でした。マダガスカルに行ってるわけではないのに家を空ける日も多かったです。この間に、マルシェに出店したりセミナーなどで話をしたりもしましたし、食に関する国際イベントに参加する機会も2度ありました。今回は、その中で感じたこと、考えたことをお伝えしたいと思います。

参加した国際イベントの一つは香港で開催された青果物の展示会。会場はとても華やかで特に中国、韓国などのアジア各国を中心にたくさんの立派なブースが並び、世界中から大勢の人が集まってすごい活気でした。こういう場所では当然ながら大規模な生産者が目立ちます。ブースに掲げられた、どこまでも広がる広大で美しい農園の写真を見ながら、これら企業の圧倒的な規模に自分たちの事業や言葉の、小さいというのも憚られるほどの小ささを痛感しました。今やっていることを続けることにいったいどれだけの意味があるのだろうか? いったいどれだけの影響を社会に与えることができるのだろうか? と絶望感さえ覚える始末。

他の産業と同じく、農業など食に関する産業にもどんどんと大きな資本が投下されて、工業化し、大規模化し、寡占化が進んでいく。技術革新も相まって、求めやすい価格で美味しいものが大量につくられて供給される。僕も含めたくさんの人がその恩恵を受けています。一方で、大量生産大量消費の社会が気候変動や森林の破壊、汚染といった環境問題や社会問題を引き起こしてもいます。投資とそれに応じるリターンを求める仕組みの中で、この流れはもうどうしようも抗いようのないものなのでしょうか。

ボルネオで際限なく広がるアブラヤシの農園を見たときに、どうしてこんなことをしてしまったんだと強い憤りを感じました。でもそれが私たちの普段の生活を支えている風景であることを思って複雑な気持ちになりました。ESGやSDGs、パーパス経営やエシカル経営、ネットポジティブ経営などと叫ばれる社会的潮流の中で、昨今では環境への影響を少なくする、いやむしろプラスの影響を与えるよう企業は多大な努力を行っています。でも、まだまだ十分ではないようです。熱帯雨林のジャングルもそうですし日本の里山もそうでしょう。失われていくものがたくさんあります。そんな中でも、50年後も残したい風景があるのであれば、私たちはそれを強く意識して残す努力をしなければいけない。そのためには趣味や余暇、ボランティアではなく生業としてそこに関わる人たちを増やさなければならないだろうと思います。

10月18日に開催された「異業種交流座談会『100年後の食 ー食と農の未来を考えるー 』」では、農業は将来的に、機械化された大規模なものと各地域の自然環境と共存する里山の農業とに二極化するのではないか、里山やそこでつくられる食品は希少でとても価値あるものとして求められ続けるのではないか、という意見がありました。僕も同感です。そのために、アグロフォレストリーや里山の産品など、いいと感じるものを価値あるものとして提案しているわけです。

勇気づけられることもありました。9月末に出店した「コーヒーとチョコレートの祭典」では、主催者や出店者を含め思いを共有する人たちが集まり、たくさんの人を惹きつけていました。また、10月8日〜10日に開催された東京サステナブルシーフードサミット(TSSS)2024では、石巻のフィッシャーマン・ジャパンの活動を知りました。「新3K=カッコいい、稼げる、革新的」の漁業のモデルを石巻で実践し、それを全国に展開しています。この取り組みを通して200名を超える人が新規で漁師になったとか。石巻での成功がモデル化されブランディングされて全国に展開され、大きな影響力を持つようになっています。ここに、今の活動を自己満足で終わらせることなく社会に相応の影響を与えるためのヒントをみました。まずは目の前のことをしっかりと、ですね。

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さてさて今週末は衆議院選挙ですね。思いを込めた一票を誰に投じようかな。

2024年10月25日
合同会社Co•En Corporation
代表 武末克久

冒頭の写真:稲刈り後の稲架(はさ)掛け(苗目@千葉県鴨川)

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