アグロフォレストリー通信#4 マダガスカルのアグロフォレストリー

Kurumiru/ 4月 21, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

アグロフォレストリー通信#05

前回まではアグロフォレストリーとは何か、形と役割についてみてきました。 今回からは、実際に活用されている姿、世界のアグロフォレストリーの事例をみていきます。
まずは、Co・En Corporation のバニラビーンズの生産地、マダガスカルのアグロフォレストリーについてです。マダガスカルの気候は東側と西側でまったく違います。東海岸部は年中雨が多い高温多湿の熱帯性の気候です。一方で、西側は乾燥しており、サバンナの草原が広がります。アグロフォレストリーは主に、高温多湿の東側で広がっています。

西側の森林。乾燥した木々が多いです。
東側の森林。緑が青々と茂っています。
マダガスカルのアグロフォレストリー。様々な種類の木々が生えていることが分かります。

マダガスカルのアグロフォレストリーの上層部に育つのは、アカシア、ユーカリ、シナモン、クローブ、ライチ、ジャックフルーツ、コロソル・・・木材として利用できる木や、大きい果樹です。これらは育つのに年数がかかるため、収穫を得るのにも年数がかかります。

とてもビックサイズなジャックフルーツ。トロピカルな味で、食感が特徴的。最近はヴィーガンの代替肉としても注目されています。
ライチの収穫時期は11月頃から。季節によっていろいろな果物がなります。

中層部には日陰を好む、低高木が育ちます。コーヒーやカカオ、バナナなど、私たちにも馴染みのあるものが多いです。また他の木々に巻きつく形で、胡椒やバニラも生育しています。
中でもマダガスカルでポピュラーなのがキャッサバ。マダガスカルには、キャッサバの葉っぱを使った、ラバトゥートゥという伝統料理があります。
キャッサバは成長が早く、約3ヶ月で食べられるようになります。すぐ収穫できる、食べられるものを作りながら、並行して木材など何年もかかるものも育てていくのです。

立派なカカオの実。カカオの実の中にはパルプと呼ばれる果肉の部分があり、甘酸っぱい味がします。
マダガスカルの胡椒。生のものは少し柑橘のような爽やかな味もします。
キャッサバを収穫したアドルフ。
伝統料理のラバトゥトゥ。豚肉とすりつぶしたキャッサバの葉っぱを一緒に煮て味付けしたものです。

下層部には可愛いパイナップルが!その他にもレモングラスなどが茂ります。
このように、様々な作物が同時に生育しているマダガスカルのアグロフォレストリー。バニラ、クローブ、シナモンは主要な収入源のため大体のアグロフォレストリーに存在しますが、何を育てているかは、農家によって異なります

地面から生えるパイナップル。

実際、アグロフォレストリーを始めたことで、農家にはどのような変化が起こったのでしょうか?
大きくは、様々な作物が育つことで、収穫が年間を通して得られるようになりました。
また、Co・En Corporationが取引をしている協同組合では、農家にアグロフォレストリーのやり方を教え、広め、それらのアグロフォレストリーで育った収穫物の買取先を作ることで、農家の収入向上に努めています。協同組合内で定期的に会議も行い、組合員に対しての保険を作ったり、村に学校を作ったりと、農家のためにお金が使われるようにみんなで話し合っています。

農家の一人のジョセフ。彼は協同組合に入って収入が安定したことで、自分の仕事に誇りが持てるようになったといいます。今では息子を大学に通わせています。

アグロフォレストリーのメリットは事前に知っていたものの、実際はどうなのかという疑問がありました。しかし、実際に現地に赴き、私たちの取り組みが間接的に農家の生活向上に繋がっていることを感じ取れた時はとても嬉しかったです。

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