Kurumiru/ 3月 20, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
アグロフォレストリー通信#03
前回(アグロフォレストリー通信#2 )は森の必要性について見ました。今回は、農業をしながら森をつくることができるアグロフォレストリー。その良いところと大変なところについて見ていきます。
アグロフォレストリーは森の状態でありながら農業を行うことができます。そのため、前回紹介したCO2吸収や、土壌保全といった、森林の機能を持っています。そして実は、森の状態であるからこその、農業の面でのメリットも持ち合わせています。
その一つは化学肥料や農薬を使う必要がないこと。化学肥料や農薬を使用しないことで、生態系の破壊や環境汚染、農薬を使う際の健康被害を無くすことができます。また農薬や化学肥料を買うお金も節約できます。アグロフォレストリーには病気・害虫などによる作物の被害が発生しにくいという特徴があります。アグロフォレストリーは森の状態であるため、多様な生き物が住み、その中で生態系が出来上がっています。例えば、作物を食べてしまう害虫を鳥が食べるというように、生き物が相互に作用しバランスを保っています。その結果、作物を食べる特定の害虫が増えて困ることや、病気の原因となる菌だけが蔓延するといったことがありません。
肥料については、化学肥料は使用しません。自然の森と同じで、落ちた葉っぱや生き物の死骸が肥料になります。自然の肥料で栄養のある土地が育ちます。また、農家によっては窒素を固定するマメ科の植物を一緒に植えて土壌の養分を補うところもあります。
もう一つは農家の収入が安定すること。 一つの種類の作物を専門的に栽培するのは効率的である一方、リスクもあります。もし災害や病気等で作物が一気に不作となってしまった場合、農家の収入は0になってしまいます。しかし複数の作物が森の中に育つことで、もし不作な作物が出たとしても、他の作物でまかなうことができます。また、収穫時期の違う多数の種類を育てることで、年間を通じて安定的に収入を得ることができます。
環境にとっても農家にとっても、いいことづくしなアグロフォレストリー。でも大変なこともあります。それは、時間がかかること。アグロフォレストリーをつくるのには時間がかかります。桃栗三年柿八年というように、木が育って実がつくまでには何年もかかります。もちろん、短期間で育つ作物も一緒に植えて、収入を得ながらつくっていきますが、農家にとっては初期投資が大きいです。目先の利益よりも将来の収入に投資するというのは、簡単なようでなかなか難しいものです。 そのため農家をやる気にさせるのが大変です。
もう一つは専門的な指導が必要なこと。アグロフォレストリーをつくるには専門的な知識やノウハウが必要です。例えば、木にも相性があり、どの木とどの木を一緒に植えたら良いのかなど植える木の組み合わせを考える必要があります。一から始める時にはそのノウハウを教えてもらう必要があります。
専門的な指導によって整備された一年目のアグロフォレストリー。色々な樹種が交互に考えて植えられています。
アグロフォレストリーを広げるためには、これらの課題を解決しなければなりません。
農家にやる気になってもらうには、アグロフォレストリーがいい方法なのだということを結果を持って農家に示すことが大切です。そのためには、アグロフォレストリーの農作物が売れる仕組みを作ることが必要不可欠です。
前回はこちら(アグロフォレストリー通信#2)
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