前回(アグロフォレストリー通信#2 )は森の必要性について見ました。今回は、農業をしながら森をつくることができるアグロフォレストリー。その良いところと大変なところについて見ていきます。
アグロフォレストリーは森の状態でありながら農業を行うことができます。そのため、前回紹介したCO2吸収や、土壌保全といった、森林の機能を持っています。そして実は、森の状態であるからこその、農業の面でのメリットも持ち合わせています。
その一つは化学肥料や農薬を使う必要がないこと。化学肥料や農薬を使用しないことで、生態系の破壊や環境汚染、農薬を使う際の健康被害を無くすことができます。また農薬や化学肥料を買うお金も節約できます。
アグロフォレストリーには病気・害虫などによる作物の被害が発生しにくいという特徴があります。アグロフォレストリーは森の状態であるため、多様な生き物が住み、その中で生態系が出来上がっています。例えば、作物を食べてしまう害虫を鳥が食べるというように、生き物が相互に作用しバランスを保っています。その結果、作物を食べる特定の害虫が増えて困ることや、病気の原因となる菌だけが蔓延するといったことがありません。
肥料については、化学肥料は使用しません。自然の森と同じで、落ちた葉っぱや生き物の死骸が肥料になります。自然の肥料で栄養のある土地が育ちます。また、農家によっては窒素を固定するマメ科の植物を一緒に植えて土壌の養分を補うところもあります。