Coen.mg/ 9月 29, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
Co・En Corporation のバニラビーンズが育つ、人と森の共生の農園アグロフォレストリー。このアグロフォレストリーというかたちは世界中にあります。マダガスカル、ボルネオと紹介してきましたが、今回はブラジルのかたちを紹介します。ブラジルのアグロフォレストリーは、ブラジル北部のトメアスという地域にあります。実はここのアグロフォレストリーは日本人がつくり上げたものなんです。1929年、日本人移民家族約200人がトメアスに到着したのがはじまり。そこから年月を経て日本人移住者がつくり上げました。遠い国のものでも、日本人が作ったと思うと急に親近感が湧きます。当初はカカオの栽培を行う予定でしたが、うまくいかず、協同組合を結成して米や野菜を作りました。しかし土地に対する収量が低く、土地にあった作物が見つけられずにいました。戦後1950年代、胡椒の価格が高騰したことを受け、胡椒栽培に力を入れます。1933年にポルトガルから持ち込まれた、この胡椒が大当たり。町に莫大な富をもたらします。しかし1960年代後半から、コショウは病害によって壊滅的な被害を受け、経営の危機に陥ります。ひとつの作物に頼るというリスクを分散させるため、収入源を多角化させようということで再びカカオの栽培が提案されます。カカオの栽培には陰になる木を必要とするため、他の樹木と混ぜて植えることが指導されました。そうして、ひとつの作物の栽培に頼っていた反省を生かし、ひとつの作物で失敗しても他の作物で補えるよう、農地に複数種の樹木や果樹を一緒に植える農法「アグロフォレストリー」が行われます。(参照:アマゾン地域における日経移民の農業展開と共同組合の役割)
トメアスではマダガスカルと似たかたちで、アグロフォレストリーの方法の中でも樹幹栽培システムという方法をとっています。最初に胡椒を育て、その間でアマゾンのフルーツや木材を育てます。こうしてみると森と人の共生のかたちは、意図的に自然を守ろうとして始まったものではなく、継続的に収入が得られる安定したかたちを模索した結果、自ずからその様にかたちづくられたものであるということがわかります。
人と自然との共生のかたちは、私たちから見れば、環境が守られる、森が増える、その様な切り取り方ですが、この歴史をみると、その場に生きる人々からすれば、継続的に収入が得られる、合理的に生きるためのかたちなのだということが分かります。便利さを追い求めると自然のかたちからはどんどん切り離されていく私たちの生活。この生活もいつか終わりが来てしまうのでしょうか。長期的な目線で見ると、自然の流れに沿って自然のかたちの中に生きる方が、人にとっても、合理的なあり方なのかもしれません。
2023年9月20日武田瑞季
前回のアグロフォレストリー通信#06「ボルネオのアグロフォレストリー 後編」はこちらからご覧いただけます。
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