アグロフォレストリー通信#12 日本林業の今

kurumiru/ 2月 20, 2024/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

今回は日本の森林や里山の現状についてです。前回のアグロフォレストリー通信にもあったように、日本は国土の約67%が森林です。たくさんの森林資源を持ち合わせています。しかしながら自国の森林資源を使わず、海外の森林資源に頼ってしまっているという構図になっています。ではなぜこのたくさんの森林資源を日本は活用できていないのでしょうか? 今回はなぜそうなってしまったのかを探っていきたいと思います。

前回のアグロフォレストリー通信では、木を伐ることが人工林を健康的な森にするには必要不可欠なことだということを書きました。国土交通省が実施した調査によると、手入れがされていない耕作放棄地は年々増加。森林所有者の4割程が所有森林を放置してしまっているそうです。その理由には、高齢化による労働力不足や、所有者が分からなくなってしまったことなどが挙げられますが、大きなキーワードは林業の衰退です。かつて戦後の拡大造林でたくさん植えたズギやヒノキの人工林は、今まさに伐採に適した年齢を迎えています。しかしその多くは伐採されずに残っています。なぜか? それは林業をしても採算が取れないからです。戦後の拡大造林後、木材輸入の自由化により、安価で便利な外国産材が入ってきて、国内の木材は売れなくなってしまいました。その結果外国産材にひきずられる形で木材価格が下落。開けていて効率的に木々を運び出せる海外に比べれて、日本の山は急斜面であるため木材を運び出すのに労力とコストがかかります。間伐や枝打ちなど天塩にかけて育てた木材ですが、やっとの思いで切り出して手に入れた丸太が、なんと一本3000円。高コストなのに対し費用が回収できず、赤字産業に。林業は衰退していきました。

経済的合理性を重視した結果、安く、正確に、便利に買える外国材の方が主流になってしまい、また、高齢化や人手不足も進み、さらに林業が衰退していきます。

林間から差し込む太陽

耕作放棄地が増え、高齢化が進んでいく林業、そして里山はこのまま衰退の一途を辿っていくのでしょうか? 私はその問いにNOと言いたい。そうでなければ困るのです。次回はこの課題をどう解決していけば良いのか、どう解決していけるのかについて考えていきたいと思います。

2024年2月19日
武田瑞季

前回のアグロフォレストリー通信#11アグロフォレストリー通信 木を伐ることが大事? はこちらからご覧いただけます。

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