Kurumiru/ 3月 19, 2024/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
耕作放棄地が増え、高齢化が進んでいく林業、人口が減少する地方。私たちはこの問題をどう解決していけるのでしょうか? おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に…。山々に囲まれ、すぐそばに森林資源がある森の国日本では、食料生産の場として、エネルギー(薪など)や家畜の餌、建築材の供給源として、森と共に生きてきた歴史があります。都市へ人々が流入し、高齢化や人口減少が進み、衰退していく森林と里山。生活様式が変わった現代では、昔と同じ森と共にある生活を増やし、持続可能な森を取り戻すということは難しいと思います。今の生活に合わせて森が維持されるように工夫をこらすことが必要です。森は公益の財産です。酸素、豊かな水、生命、存在するだけで多くの恵みをもたらしてくれています。しかしその財産を人間社会で守っていくには、お金というわかりやすい形で経済的価値を生み出す必要がある(そのことに私は矛盾を感じるのですが….)。人が生きるのにはお金が必要です。森と生きるには現代ではそれが仕事となる生業を創造する必要があります。森を守ること、森をつくることがお金になる必要があるということです。便利な暮らしと豊かな暮らしは必ずしもイコールでないように感じます。自分で育てた野菜を食べたとき、木々の間から差し込む木漏れ日の中を歩くとき、森の間を流れる川のせせらぎに包まれるとき、そんなときに心が豊かになる感覚が確かにそこにはあります。豊かな暮らしの価値を再認識するそんな場所を創ることができたら、そんな価値を提供できたら。悲観的にならずに新たなイノベーションを起こして、森のポテンシャルを最大限に引き出す価値と機会と生業を創造していく。それが森そして里山の存続に必要なことなのだと思います。
2024年3月19日
武田瑞季
前回のアグロフォレストリー通信#12 日本林業の今 はこちらからご覧いただけます。
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