Kurumiru/ 5月 22, 2024/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
アグロフォレストリー通信#14 自然が子どもにもたらすもの
自然に触れていると心がときめく瞬間があります。青々と茂り風に揺れている植物、木々の間からさす木漏れ日、気持ちのいい空気、どこまでも続く青い空、太陽の光が反射してきらきらと輝く水面..。人は自然の中にいると不思議と安らぎを感じます。多くの人にとって癒しの存在である自然ですが子どもたちにはどのような影響をあたえているのでしょうか?「沈黙の春」を出版したことでも知られるレイチェル・カーソンは生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー(驚きと不思議さに開かれた感受性)」を保ち続けることの重要性を記しています。世界が新鮮で美しく、驚きと興奮に満ちている子どもたちにとって、自然の中は発見と感動の連続です。
さらに自然の中で遊ぶことは子どもたちに様々な影響を与えることがわかっています。感覚機能が鍛えられる自然の中は室内にいるだけでは得られない情報で溢れています。「視覚」「味覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」人間にとって大切な五感は、自然環境がもたらす感覚刺激によって鍛えられます。知的好奇心を刺激するなぜ木々が大きく育つのか、なぜ星は輝くのか、自然の中には様々ななぜ?が溢れています。自然と触れ合うことが子どもの知的好奇心を刺激します。また自然の中の生き物と触れ合うことも1つです。虫とりや動植物の観察は自然や環境問題に興味を持つきっかけともなります。前頭前野が発達する前頭前野は5〜20歳までの間に発達する器官で、判断力、想像力、意思決定、行動力などを司っている脳の司令塔です。感情のコントロールに関わる部分で、この部分が発達することで精神的な落ち着きや思いやり、忍耐力の向上につながるのだそうです。運動能力・体力・健康の増進につながる運動能力の66%は遺伝で決まるそうですが、遺伝だけで全てが決まるということはないのだそう。幼児期~学童期にどれだけたくさんの動作を経験しているかで運動能力が決まります。木登りをしたり、障壁をくぐったり、でこぼこ道を走ったり、自然の中で遊ぶことでたくさんの動作が必要になります。自然の中でめいっぱい遊ぶことで、体幹やバランス感覚が鍛えられ、運動能力の向上につながります。問題解決能力が身につくどうやったらこの木に登れるのか、川にかけられた板を落ちないように渡るにはどうすれば良いのか、自然の中は簡単にはいかないことで溢れています。自然の中で試行錯誤を繰り返すことで、問題解決能力や自ら考え実践する力が身につきます。発想力・創造力が身につく葉っぱや木、石や砂、なんでも遊び道具にしちゃう子どもたちには日々関心させられます。枠にとらわれずに見て触れて触って得た情報からクリエイティブにものを生み出す力は、子どもならではの力ともいえます。
自然を美しい、面白いと思う瞬間にたくさん触れ子どもたちが自然の中でそれぞれのセンスオブワンダーを持つ。そのためには生きる喜びと興奮、不思議を一緒に再発見していってくれる、少なくとも一人の大人の助けが必要であるとカーソンは記しています。そんな機会をたくさんつくりたい、つくることができればなんて素敵だろうかと思います。
2024年5月21日
武田瑞季
前回のアグロフォレストリー通信#14 森と文化 はこちらからご覧いただけます。
アグロフォレストリー通信バックナンバーはこちらから。
メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です
次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。
新しいコメントをメールで通知
新しい投稿をメールで受け取る
Δ
このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。