「持続可能性」について考えた

coen.mg/ 10月 19, 2022/ Newsletter/ 0 comments

Connect & Enjoy #012

今回は、最近経験したものすごく気持ちの良かったことについて書きたいと思います。

 

「SDGs(持続可能な開発のための目標)に貢献する、、、」「持続可能な社会の実現に貢献する、、、」このような言葉を、最近よく耳にするようになりました。新聞やテレビでもよく見かけるし、教育の場面でもそうでしょう。保育園ですら「○○保育園のSDGs!!」というようなコーナーを作って子供たちに教えようとしています。持続可能な開発・社会の実現はもはや国だけが責任を持って目指すものではなく、企業、さらには一般の人々もがその実現に貢献することを求められています。

 

僕は、「持続可能な、、、」という言葉とは随分長くお付き合いしています。最初の関わりは、持続可能な開発のための教育推進会議(ESD・J)でボランティアをした2005年なので、もう17年になります。持続可能な、、、という言葉は聞こえがいいのですが、対象とする範囲が大きすぎで掴み所のない言葉だとも感じます。そのせいか、持続可能な開発・社会ってどいういう社会なのか、どうすればこういう社会に近づけるのかということを、この言葉を知ってからずっと(20年近くも!)自分なりに考え続けているような気がします。

 

Co・En Corporationを立ち上げた2020年頃は、「人と人との繋がりを再構築すること(もしくは再構築されること)」だと考えていました。分断された人と人との繋がりが再構築されることで、いろいろな問題が解決に向かうと考えるからです。例えば食の場面でいうと、作物の作り手とそれを食べる人たちとのつながりが分断されて、消費者から生産者の顔が見えないようになっています。そのことが食料の生産現場で課題となっている森林破壊などの問題に対する無関心を生み、問題を野放しにしてしまているのではないか。だから関係性が再構築されて人々の関心が高まれば、森林破壊にブレーキをかけることができるのではないか。そう考えるのです。人と人との繋がりの分断は食に限らず様々な場面で見られると思います。このことは一方で個人個人をしがらみから解放し自由にするというポジティブな側面もあると思います。ただ他方で問題も起こしている。だから、分断された繋がりを良い形で紡ぎなおすことが今の社会には求められていて、それが持続可能な社会の構築につながる! そういう想いを込めてCo・En Corporationの社名は、COnnectとENjoyの接頭語をとって作りました。

 

ところがです!

 

先月のSUSTABLE2022で苗目の井上さん、FAROの加藤さんと対談したときのことです。加藤さんが「50年後まで残したい食材を使う」ということをおっしゃって、この言葉がすーっと腹に落ちてきたんです。今はまだ残っているけれどもこのままではもうすぐなくなってしまうかもしれない食材、それを栽培する人たち、その環境、そしてそれらによって構成される里山の風景。これらを50年先にも残すためには、僕たちは積極的にその食材を利用しなければいけない。そんな加藤さんからのメッセージでした。消費行動は投票行動といわれるように、同じようなことは何度も考えてきたはずなのですが、なぜかこの日は今までにない程度で納得したのでした。僕の中で持続可能性の定義がアップデートされた瞬間でした。

私たちは、バニラの作り手とそれを楽しむ日本の方々をつなぎながら、マダガスカルでアグロフォレストリーに取り組む人たちを応援する事業をやっているわけですが、それは、アグロフォレストリーを50年後にも残すことだし、50年後もアグロフォレストリーからの食材を楽しむことなんだと気づきました。自分の気持ちが簡潔な言葉で表現されて、「そうか、自分はこんなことをやってきたのか、やりたいと思っているのか」と腑に落ちたときってものすごく気持ち良いですよね。その快感を味わった9月末でした。

 

念の為に申し添えると、人と人との繋がりを再構築することの重要性は変わらないと思いますし、だから会社名を変えるつもりもありません。

*冒頭の写真は加藤さん創る「里山のタルト」。50年後も里山を残したいという加藤さんの強い想いが込められています。

2022年10月19日
合同会社Co・En Corporation
代表 武末克久

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