日本での実践を探して

Coen.mg/ 7月 21, 2022/ Newsletter/ 0 comments

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竹編みの籠に盛られた、見たこともないような葉物の野菜に色鮮やかな花たち。これ、苗目のシェア畑での収穫物です。素敵でしょ!?

 

苗目は、千葉県鴨川市にある農地所有適格法人( https://www.naeme.jp )。井上隆太郎さんが2018年に立ち上げた法人で、グリーンハウスのハーブ園、里山、シェアファーム、棚田を中心に活動しています。7月の頭にここを見学してきました。今回はこの見学で見たことを紹介したいと思います。

 

見学の目的は、日本でのアグロフォレストリーの実践を探すこと。

 

マダガスカルのアグロフォレストリーの話をするときに、「アグロフォレストリーは確かに凄いですね!! で、日本にはアグロフォレストリーはないのですか?」という質問をよく受けます。これに対して「日本ではアグロフォレストリーという言葉はあまり知られていませんが、日本でもこれと同じようなことをやっている人はいると思います。日本では里山がそれに近い場所だと思います。」といった感じで鋭さに欠ける回答をしてきました。僕自身もすごく興味があることでしたので、答えながら、日本での事例を見たいし、やっている人と話がしたいと思っていました。

 

そこで今年から日本でのアグロフォレストリーの実践を探し始めました。その一つが苗目だったのです。憧れの苗目は、想像をはるかに超えて素晴らしい場所でした。

 

今年から始めたシェアファームでは、冒頭の写真のように多様な植物が収穫できるし、耕作放棄地を新しく再生させた棚田では赤米や黒米の稲が青々と育ち見事でした。これを農薬や化学肥料を一切使わずに実現させているのですから、その苦労は大変なものだと思います。

 

ハーブ園は、これがまた圧巻でした。一見草ぼうぼうに見える農園には数百種類のハーブが栽培されていて、いい香りのものはもちろん、甘いのや辛いの、ニンニクやオイスター、しまいにはバニラの香りがする葉っぱまであって、そこは楽園でした。

 

それはさておき、この日のメインはもちろん里山です。井上さんが俳人に譲り受けたという山には、梅の木、甘夏をはじめとした柑橘類、キンモクセイやタイサンボクなど香りが楽しめる木々などがはえていました。木陰にはクロモジ、フウトウカズラやフユイチゴが見えました。タラノメも採れるそうです。また、養蜂箱が置かれていニホンミツバチが養蜂されていました。今は、森に光を入れるために、伸びすぎた杉の木の伐採を進めているとのこと。伐採した木を使って自宅づくりが進められていました。空気が乾燥する冬にしか伐採できませんし、なんせ手作業なので時間はかかります。でも、暗い森から多様な植物が茂る明るい森へと変わっている様子が見てとれました。これからさらに沢山の森の恵みが採れるようになるでしょう。とても楽しみです。

日本では、特に戦後、スギやヒノキの広大な人工林が造成されました。そのときに植樹された木が今伐採期を迎えていると言われています。でも中には、整備が行き届かず活用されていない場所も多いと聞きます。であれば、多様性に富んだ従来の森に戻す場所もあってもいいのではないかと思います。そこに食材となるような木々や草花を一緒に植えれば、木材だけではなく多様な収入源を得られるかもしれません。そして、今は眠っているけども、それぞれの地域で長い年月をかけて培われてきた森を活用する知恵や食文化を掘り起こすことにつながるかもしれません。日本でもアグロフォレストリーの可能性は大いにあると思うのです。


嬉しいことに、この可能性を苗目の井上さんと資生堂Faroのシェフパティシエ加藤さんと3人で話をする機会をいただきました。大丸有SDGs ACT5実行委員会と三菱地所株式会社 EAT & LEADが共催する”SUSTABLE”というイベントの一環で、アグロフォレストリーを題材に経済活動と自然環境の共存について考えます。9月28日(水)です(詳細は後述)。当日は、アグロフォレストリバニラと苗目で収穫される食材を使って加藤さんが一皿を作ってくださいます。その一皿を食しながら対談します。食という切り口から、人と森とのよき関わり方を描く時間にできたらいいなと思っています。

2022年7月21日
合同会社Co•En Corporation
代表 武末克久