寄付かビジネスモデルか

Coen.mg/ 7月 22, 2024/ Newsletter/ 0 comments

Connect & Enjoy #033

今月の頭に、友人の結婚式に招待されてヨーロッパに行ってきました。ヨーロッパは涼しいだろうと期待していたのですが、いやいや。訪れたブダペストは連日35度を超える記録的な猛暑でした。気候変動の影響なのでしょうか。街ではアイスクリームを食べながら歩いている人が目立ちましたし、アイスクリームショップが乱立しているようにも感じました(これは気のせいかもしれません)。アイスクリームといえば、Farmer Youの季節限定「究極のシューアイス」。今年もキャンペーン開始以来大好評で、多くの方に楽しんでいただいています。今回はこのキャンペーンの裏側に迫りながら思うところを書きたいと思います。

このシューアイス、究極を謳っているだけあって、美味しいです。主役のバニラアイスクリームを作るのはクラフトアイスクリームブランドのハンデルスベーゲンです。アイスクリームを包む特製のザクザクの生地。存在感が大きいこの生地に合わせてレシピが考案されています。アグロフォレストリーバニラを使っていただいていますが、使用するバニラの量も何度も検討しながら決めています。2021年に始まった本キャンペーン。初回はコロナの渦中ではありましたが反響が大きく、Hanakoのスイーツ大賞にも選ばれました。

ただ、この究極という言葉には、美味しさだけではなく、使っているバニラがアグロフォレストリーの農園で栽培されていることや、生産者とダイレクトでフェアな取引をしているといった、生産地の人や環境にも貢献しているという要素も含みます。美味しいだけではなく作り手と環境にもいい。このことは前面には出されていませんが、店舗にリーフレットが置いてあったり渋谷の店舗では農園を背景に生産者たちを大きく写したパネルが展示されたりと、興味関心のある方にはちゃんと情報が届くようになっています。さらには、売上の一部がマダガスカルで森林や野生動物の保全活動を展開するNGO「Madagascar Fauna and Flora Group」に寄付され、その活動に貢献しています。毎年キャンペーンの規模が大きくなる中で、現地からは報告書と共に熱いお礼のメッセージが届いています。

このキャンペーンの成功を見ていると、僕たちCo•En Coporationの製品でも売上の一部を寄付する仕組みを持つと良いのだろうかと考えたりします。取引先のパティシエの方々に意見を聞くと、賛成も多いですが反対の方もいらっしゃいます。僕自身の中でもそうなんです。Co•En Coporationの事業は、売上が伸びれば伸びるほどマダガスカルの現地への貢献も大きくなるビジネスモデルです。寄付がなくとももともとそのような仕組みですので、わざわざ寄付の仕組みを作ることに抵抗感を覚えます。一方で、寄付というかたちは、買い手にとってその貢献がわかりやすいし、説明もしやすいというメリットもあります。

昨今では、売上の一部を寄付することだけをもって「環境保全に貢献している」などといおうものなら、ごまかし(グリーンウォッシュ)だと批判されることもあります。本業で大きな環境負荷を与えながら、寄付することでこれを誤魔化していると見られるわけです。僕たちの場合、この点は心配ありません。ただ、本質的に社会の問題解決に貢献しているという自負が寄付への抵抗感を生んでいるように思います。とはいえ事業の目的を達成することが第一なわけで、そのことを考えると、変なプライドは隅に置いておいて最適解を見出すのが正解なのでしょうね。大好きなシューアイスを食べながらそんなことを考えています。

2024年7月19日
合同会社Co•En Corporation
代表 武末克久

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