マダガスカル訪問記2019年7月:バニラの加工が始まりましたよ!!
首を長くして待っていたグリーンバニラがようやく協同組合に届きました。7月19日のことです。
契約後2週間が経ちました。グリーンバニラの価格が上昇しているため、組合員の農家との価格交渉がなかなかまとまらなかったようです。
最初の作業は選別です。規格にかなう立派なもの、ダメになって製品にならないもの、短すぎて規格に合わないもの、熟しすぎて割れてしまっているものを分けていきます。量が多いので、多いときで10名ほどが作業をして丸一日かかりました。最初は痛んでどうしようもないものを取り除きます。次に、全くダメなわけではないけど、製品にはならないだろうなというものを分けて、、、という具合に、何度も何度も選別の作業を繰り返すんですね。そして最後には綺麗に選別されていました。
次の作業は、トリアージの工程。バニラポッドを1本1本茎からはずす作業です。この作業を経て、キリングのプロセスに移ります(グリーンバニラを煮る工程)。ちなみにこの時点では甘い香りは全くしません。むしろ多少不快感を感じる匂いです。
トリアージの工程と並行して、外では、薪で大きな鍋のお湯を沸かします。お湯が沸いたところで、グリーンバニラをラフィアの大きなカゴに入れてお湯につけます。これがキリングのプロセスです。この工程で細胞膜を破壊して、グルコバニリン と加水分解酵素の反応を促します。グルコバニリン はバニラの香りの主成分であるバニリン の前駆体で、加水分解されてバニリン になります。
熱湯の温度や浸けておく時間は、ちょうど良い加減を手でバニラを触って確認します。ここはまさに職人芸。仕切るのは、この道30年のベテラン、Lecine(ルシン)です。
熱湯からあげたバニラは、素早く毛布で内側を覆った木箱に入れます。そして、バニラを毛布で包む。この作業を5~6回繰り返しました。火の近くでの作業ですし籠のバニラはかなりの重量になります。とてもハードな作業に、ルシンの作業着はボロボロにははだけてしまいました(笑)
バニラは木箱の中で毛布に包まれて2日間寝かせます。2日後毛布の包みが解かれた時には、すっかり茶色に色づいたバニラが出てきました。2日前までは青々していたグリーンバニラが一気にバニラらしくなりました。まだ、あの甘い香りはしません。スイートポテトに似た香りでした。
箱から出した後はまた選抜の作業です。火の通り加減によってグレードが変わってくるそうです。また、キリングのプロセスの途中で痛んだバニラを分けていきます。この過程で、規格に合ったブラックバニラ、TK(少しグレードが落ちるもの)スプリット(鞘が裂けてしまったもの)、カット(傷ついたもの、短すぎるもの)に分けます。
ブラックとなるのは全体の6割強だそうです。その他のものは、異なる規格として比較的安価で取引されます。協同組合は、これらの規格のバニラの販売先も探しているので、できれば今回契約したブラックバニラ以外にも、こういった規格のバニラの販売先も探したいと思っています。
今回の3週間の滞在はとても有意義でした。予定を変更して延長して本当に良かったと思っています。協同組合の多くの人と馴染むことができましたし、なんといっても、バニラの加工開始の喜びを、協同組合のメンバーと共有できたことがとても嬉しいです。