アグロフォレストリー通信#25 植物と薬

Kurumiru/ 5月 21, 2025/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

最近Co・En Corporation 鴨川事務所の周りがいい匂いに包まれています。その匂いの元を辿ってみると、これがスイカズラの香りということがわかりました。今丁度満開になっています。スイカズラは果実は猛毒ですが、新芽や若葉、花は食べられるそうです。解熱、解毒、抗菌、消炎、利尿、抗炎症の効能があるとのこと。美肌効果まであるようで万能薬です。ふと、植物はなぜ人間にとって薬になるのか気になりました。

まず植物がもつ薬効は、生存競争の中で進化し、捕食者から身を守るために作り出された防御物質によるものです。逃げることができない植物は化学防御のために外敵に対して毒となる成分を作ります。この毒を上手に使うと薬になるのだそう。例えばアヘンのモルヒネという物質には血圧降下や呼吸を抑制したり止めてしまうような強い毒性がありますが、上手に使うと鎮痛作用や鎮静作用が発揮されるのだとか。私は今まで毒=体に悪い働きをする物質、薬=体に良い働きをする物質という観念を持っていたので、毒を薬として使うというのは新鮮な発想でした。

事務所の前のスイカズラ。ジャスミンのような桃のようないい香りがします。

地球上の植物種の数は約35万種といわれています。実はその中の1割ぐらいの植物種しか、薬効があるか科学的に解析されているものははないのだそう。残りの9割の植物種にある未知の化学成分が新しい医薬品の開発などに使われる可能性は十分にあります。もしかしたら、世界のどこかに生えているとある植物の成分が、現在治療できない病気を治す特効薬になる、人類にとって貴重な資源かもしれません。これが人間が生物多様性を大切にしなければいけない理由の1つでもあります。

せっかくスイカズラという植物を知ることができたのでこれからスイカズラをつけたお酒、忍冬酒を仕込みたいと思います。忍冬酒は古くから不老不死のお酒と言われ、徳川家康が愛し、その長寿の秘訣とされています。どんな味がするのか楽しみです。

花を収穫。お酒に漬け込みたいと思います。季節のものを楽しめる生活は楽しいですね

2025年5月21日
武田瑞季

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