Kurumiru/ 9月 19, 2025/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
週末、熊本の阿蘇で乗馬をしました。トレーナーさんが引いてくれる馬に乗ったことはあっても、自分で手綱を握って指示を出す乗馬は初めての体験でした。馬に跨るまで、急に走り出したりしないか内心ドキドキしてましたが、大人しく、初めての人でも乗せてくれて言うことをきいてくれる馬の懐の深さに感動しました。日々信頼を築いてきた結果なのだろうなと、人と馬の信頼関係を感じました。実は野生の馬というものはもう地球上に存在しません。日本の野生馬といわれている岬馬も一度家畜化されたものが逃げ出し、野生化したもので、完全な野生ではありません。それくらい古くから人と繋がりのある動物です。人と馬の関係は約6000年前にウクライナ地域で家畜化されたのが始まりなのだそう。その後馬は移動、農耕、軍事、娯楽で活躍してきました。
林業には馬で木材を運ぶ、馬搬というものがあります。馬搬用の馬には、競馬などでみる競走馬とは違い体重が800kg〜1トンもある大きくて体格のいい種を使います。丸太一本を100メートル搬出するのに、馬は5分でさくっと運んでしまいますが、これを人がやるとすると5人で20分はかかるのだそう。かなり力持ちです。馬は力持ちなだけでなく、環境に良いという面もあります。木材を搬出するためには、一般的にはまずそのための林道を作らなければなりません。しかし馬搬であれば道を作らずとも、馬が木々の間を縫うように木材を運び出してくれます。また、重機を入れなくて済むので、他の伐りださない木を傷つけることがありません。さらには重機を入れると土が重機に押し固められて二酸化炭素が排出されますが、馬搬では馬が森の中で糞をすることで森の土を豊かにするなんて利点もあります。馬が森の中を歩き木を運ぶ。昔の日本では主流だった風景は今では重機にとって変わられ、見られなくなってしまいました。そんな日本の風景を取り戻そうと岩手県遠野市や北海道などを中心に、伝統技術の継承と発展に取り組んでいる人たちがいます。欧米諸国では環境負荷の少なさから再注目され再び盛り上がりを見せているところもあるそうです。大規模な開発よりも小規模な持続可能性を求める上で、人と馬の関係を見つめ直す必要があるかもしれません。
2025年9月19日武田瑞季
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