Kurumiru/ 10月 24, 2025/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments
力強く響く太鼓の音と陽気なお囃子はいつ聴いても心が踊ります。鴨川市四方木地区のお祭り、熊野神社例祭では、その年の実りへの感謝と次の年の豊作を願い“餅神輿”をかつぎます。地元の方いわく、神社の記録としては天保、江戸時代からの行事なのだそう。天保は、天保の飢饉という全国的な大飢饉が起こった時期。飢饉に困り果てた村人たちが神への願いを込めて始めたものなのかもしれません。“餅神輿”とは餅を中に詰めた竹細工の神輿です。その年の新米で餅をついてそれを神輿の中に入れて担いで、さいごに神輿を割って鏡開き(餅まき)をします。このかたちは他になく、珍しいのだそうです。当日は飛び込みも大歓迎!私たちも参加させてもらいました。頭上から容赦なく飛んでくるお餅のシャワー。初めての餅まきに戸惑いながらも両手では抱えきれないほどお餅をいただきました。四方木地区では年々人口が減少し、空き家が多くなってきています。かつて小学校と教員宿舎があった場所は現在公民館となり、子供はほとんどいません。それでもお祭りは賑やかに盛り上がっていました。近隣の城西大学の学生が9名参加していたりと若者の姿も見られました。
熊野大神を祀っている場所、四方木地区の熊野神社は森の奥深くにあります。かつては地区の中心地だったようですが、現在は住民が途絶え、その道のりの大変さからなかなか参拝にいく人は少ないような場所です。集落から森に入り、ヤマビルの潜む山を超え、かつて栄えた集落の跡地、廃屋をこえ、ようやく神社が出てきます。それでも地域で定期的に整備を行っているそうで、古くなりながらも丁寧に管理されきたことを感じる風貌でした。
昔は神社が人々の集会場所だったそうで、神様と村、集落というのは非常に近しい存在でした。四方木地区の過去の写真にも神社で集会している様子が載っていました。地域の神様を祀る神社を地域みんなで管理し、地域みんなでお祭りをする。四方木は小さく自然に囲まれた地域だからこそ、昔からのしきたりや伝統が、そのかたちは変容しながらも大切にされ、続いている地域だと感じます。神様と地域がどのように関わってきたのか本来の姿を垣間見ることができた気がしました。昔のしきたりや伝承が薄れてきた現代でも祭りというのは色濃く残っていると感じます。地域に祭りがあるとそれだけで人が集まるし、活気づきます。これからも続けて継承していきたいものだと思いました。
2025年10月24日武田瑞季
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