Coen.mg/ 10月 24, 2025/ Newsletter/ 0 comments
Connect & Enjoy #048
街を歩くと金木犀の香りがどこからともなく流れてきます。店頭にモンブランも並んで東京はすっかり秋な感じです。急に気温が下がって長袖の上着が欠かせなくなりましたが、ほんの2週間前は熱狂に包まれる万博会場で奔走していました。今回は、あの頃はまだ暑かった万博でのドタバタと、クーデターに揺れるマダガスカルのことをお伝えします。
9月30日は万博のマダガスカルナショナルデーでした。僕は、ナショナルデーの一連のイベントに招待されて、この日をとても楽しみにしていました。当日現地の写真を撮って「マダガスカルに招待されました!」とインスタなんかで自慢げに報告しよう! などと思っていたのです。ところが、9月25日にマダガスカルの首都アンタナナリブで開始されたデモが瞬く間に拡大し、これに乗じて各地で暴動も発生。空港も閉鎖される事態になりました。そしてナショナルデーは中止となったのでした。がっくり。でもこのがっくりが、大きな充実感に変わります。
ナショナルデーのイベントは中止になったものの、コモンズD館内に設置されたマダガスカルパビリオンの展示を充実させる話を有志の人たちと進めていたため、27日に現地入りして準備を進めました。大量のバニラビーンズをテーブルに広げ、沖縄から送っていただいた生きたバニラの蔓を展示しました。そして有志による伝統楽器の演奏や歌で、来場者を歓迎しました。マダガスカルパビリオンを訪れた人のほとんどがバニラの香りに惹きつけられていたように思います。「なんかいい匂いがする!」「え、これがバニラ?」という声を耳にしてはにんまりとしていました。マダガスカルがバニラ大国であることを示すことができたと思います。
これだけでも大きな満足感を覚えていたのですが、30日にはコモンズ館のステージでマダガスカルのことを紹介する音楽とトークのイベントをやったり、さらには、10月7日に延期されたナショナルデーの式典で、万博のメイン会場となるレイガーデンにおいてマダガスカルの生産者にフォーカスを当てた動画を披露することもできました。「バニラ」は身近なものではありますが、それが実際にどんなものなのかを知る人はそんなに多くはありません。そのバニラの正体や、バニラが育つアグロフォレストリー、そしてバニラの甘い香りを支える生産者たちの姿を本当にたくさんの人に披露できました。
こんなことができたのはマダガスカルだからこそだと思います。他の国ではあり得なかっただろうと。関わる人が少ないがゆえに回ってきたチャンスだったでしょう。そのときにその場にいることができたのは幸運でもありました。でもこれまでに様々行ってきたことの賜物だろうとも思います。改めて、日頃応援してくださっている皆さんに感謝したいと思います。
それにしても万博はものすごかった。毎日毎日とてもたくさんの人がマダガスカルパビリオンを訪れて、バニラを手にし、バニラの香りをかぎました。バニラやマダガスカルに関心を持つ人が確実に増えたと思います。こんな機会他にある? マダガスカルだけではなく、万博に参加した158の国と地域のパビリオンで毎日こんなことが起こっていたわけで、たくさんの人が多くの国や文化に触れ身近に感じた半年間だったのではないでしょうか。
さてマダガスカル。9月25日に首都で起こったデモは、若者たちが電気や水道の安定供給、大統領の交代などを求めるものでした。これに暴徒が便乗し強盗や設備の破壊をはたらきました。政策に対する市民の不満が溜まっていたのです。事態は治らないまま数週間が経ちましたが、この動きに軍部が呼応したことで状況が大きく変わりました。10月13日ごろ大統領は国外へ亡命、その後罷免され、軍部主導の政権が誕生しました。現在は軍大佐が暫定大統領に就任し2年以内に選挙を行うとしています。日本では、マダガスカルでクーデターが発生したと報道されていますが、内戦状態にあるとか大規模は軍事的衝突があったわけではなく、死傷者が出てはいるものの平和的にことが進んでいるように見えます。一般の人たちの生活には今のところそれほど影響は出ていないようです。バニラの生産・加工についても影響は受けておらず、現地からは輸出ライセンスが更新されたという知らせが届いています。これから輸出の時期を迎えますが、実際に手続きがどのようになるのかなど不透明なところも多く状況を見ているところです。
純粋に政策の改善を求めて声を上げる人たち、それに乗じて犯罪を犯す人たち、運動を政治的に活用する人たち、色々な力学が絡み合ってことが進んでいますが、良い方向で状況が落ち着いてくれることを、そして後から振り返ったときに、今回の一連の出来事がマダガスカルの良き発展に寄与したと評価されるものになることを心から祈りつつ、経過を見守りたいと思います。マダガスカルの春(南半球のマダガスカルは実際に今、春です)にたくさんの新しい緑が芽吹きますように。
2025年10月24日合同会社Co•En Corporation代表 武末克久
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