アグロフォレストリー通信#31 木を伐る

Kurumiru/ 11月 25, 2025/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

森林整備を自分でもできるようになりたいと思い、林業就業体験研修に参加しています。チェーンソーの資格や刈り払い機、3トン未満の小型車両機械を運転できるようになる講習です。講習を受ける中で、木を狙った方向に倒すこと、伐倒が特に難しいと感じています。木を伐倒するには、木にくの字の受け口をいれ、その反対側からまっすぐ追い口を入れて、くさびを打ち込んで倒します。この受け口追い口の正確性によって倒れる方向が決まります。

まずはその木の重心の位置や他の木との関係(引っ掛かってしまはないかなど)を見極めて倒す方向を決めます。次にその方向に真っ直ぐになるように受け口を入れます。まず底辺を木の抜根直径(木の根っこの直径)の3分の1以上(木の胸高直径が 70 センチメートル未満の場合は4分の1以上)を目安に切り込みます。受け口の角度は底辺は水平に、上部は約30度~45度の角度で作成します。伐倒方向に合っているかどうかを確認し、修正をしたら受け口の3分の2の高さに水平に追い口を入れます。この際、受け口と追い口の間に抜根直径の1/10ほどつるというものを残します。このつるが蝶番のような役割をして倒れます。私たちの命ずなです。この残ったつるが真っ直ぐでなければ真っ直ぐには倒れません。つるのかたちによって倒れる方向が決まります。…というように木を一本倒すだけで考えることがたくさんあります。

左が受け口、右が追い口。真ん中の木が残った部分がつる。

1番の基本が水平です。前後左右の水平を保ち、まっすぐに切り込みを入れることが重要になってきます。まず、チェーンソーを水平に持つことすら難しい。5kgある機械を前後左右を水平に保ちながら持つ。最初は上手な体の使い方がわからず、少し持っただけで、筋肉痛の予感を感じるほどでした。

水平と角度、手元で5度伐倒方向を見誤るだけで木の先端の方向は2m以上も変わってきます。500kg以上のものが落ちてくるのですから間違った方向に倒してしまえば人も建物もたまったものじゃありません。狙った方向に倒すということがいかに重要かがわかります。状況把握、判断能力とそれを成しうる技量がないとできない作業だということがわかりました。

いよいよ山での実践。水平に切り込む難しさは、傾斜があり、足元の悪い山の中であればなおさらです。木を一本伐っただけで普段使わない筋肉を使い、全身が筋肉痛になりました。木を伐倒するという命に関わる行為に緊張して変な力が入っていたこともあると思いますが、一本伐っただけでこんなにも消耗するのかという感想を持ちました。林業従事者の方々はスピードも正確性も素晴らしく、まさに職人技であると感じました。残り1週間、基本に忠実に木を上手く伐倒できるイメージだけでも掴めるようにしたいです。

一人で伐倒。樹高約20m以上もあるものを倒すのは緊張感があります。

2025年11月25日
武田瑞季

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