30までに30

Coen.mg/ 12月 23, 2025/ Newsletter/ 0 comments

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今月上旬に開催されたエコプロ。環境・SDGs・サステナビリティをテーマにした日本最大級の展示会といわれるその会場を歩いてきました。10年ほど前は小売や食品メーカー、日用品メーカーなど馴染みのある大手企業も多く出展していましたが、そのときから様子が大きく変わりました。今年は、自分の関心がそこにあるからでしょうか、自然の価値を評価するサービスを提供する企業や、森林の有効活用をアピールする組織が多かった印象を持ちました。その中でも特に目立った30by30のことを今回は取り上げたいと思います。

30by30は「30歳までにやりたいこと30選」。ではありません。それも間違いとはいえませんが、今回紹介するのは「2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標(環境省)」です。2022年に開催された生物多様性条約締約国会議(COP15)で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2030年までに「ネイチャーポジティブ」達成を目指すことと、そのための23の目標が合意されました。30by30は23の目標の一つです。締約国の一つである日本でもその達成のための法制化が進み、さまざまな施策が打ち出されています。

日本の国土面積は、37,797,500 haです。そのおよそ20%はすでに国立公園などの保護地域に指定され生態系が守られていますので、目標達成まであと10%(380万ha)。国は、企業を含む民間組織や自治体が持つ土地を「自然共生サイト」として認定することでこの面積を確保しようとしており、2025年2月時点で9.3万haが自然共生サイトに登録されています(海域についても同様に30%の目標がありますがここでは割愛します)。

ポイントは、この10%は必ずしも手付かずの状態で保護しなければならないわけではないところです。自然共生サイトの条件には、「里地里山などに特徴的な生態系が存する場所」や「地域の伝統文化に活用されている自然資源を供給する場所」があり、人が利用することを前提とする土地であっても生物多様性が持続的に保全される場所であれば認められます。

里地里山は、海と山が近くて山間地が多くしかも人口が多い日本に特有な場所でしょう。人が自然と調和した形で生活している、そして長年の文化的な蓄積がある里地里山は日本が世界に誇れる場所です。日本版のアグロフォレストリー実践の場ともいえます。上記のような背景があり、30by30に向けて自然共生サイトに登録される里地里山は今後も増えるだろうと思います。ただその維持は簡単ではないと思います。維持するための人やお金が継続的に必要になります。そのための仕組みづくりが肝要です。

ここに、森を保全しながらそこから収穫するもので安定した収入を得ていくという、アグロフォレストリーのモデルが活用できるのではないかと考えています。そこでCo•En Corporationは、アグロフォレストリーて森林を有効活用する仕組みづくりを行う、森部の新設を目指しています。2024年に千葉県の鴨川に拠点を移してから1年と半年が経ちましたが、いよいよ2026年にはこの場所でアグロフォレストリーの実践を開始したいと思っています。先日行った忘年会ではこの話題で盛り上がりました。

2025年が終わろうとしています。2030年の終わりまではあと5年です。今回は国際的な目標を紹介しましたが、節目としてちょうど良いこの年末年始にあなたの30by30を考えてみるのもいいかもしれません。良いお年をお迎えください。

2025年12月23日
合同会社Co•En Corporation
代表 武末克久

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