マダガスカル訪問記2023 vol.1 | アグロフォレストリーの可能性

Coen.mg/ 9月 4, 2023/ つぶやき, 農園の今/ 0 comments

アグロフォレストリーに在来種の混植はどの程度可能か?

最近の自分の中でのテーマです。少なくともマダガスカルでは、アグロフォレストリーといえは換金作物や食料となったり生活のための道具となる種を中心に植えるのが一般的です。つまり、バニラやクローブ、シナモンのような香辛料、ライチや柑橘、アボカド、パイナップル、バナナなどの果物、キャッサバやタロなどのイモ類、そして竹やラフィア、アカシアなど道具や建具、燃料として有用な種が多く植えられます。そのほとんどは海外からマダガスカルに持ち込まれた植物です。 荒廃した土地を再生させ有効活用するのには、これだけでも十二分に効果があるのですが、さらに理想をいうと、この地に本来あったものに近い自然環境を再生させるためには、このような外来種だけではなく、もともとマダガスカルに生えていた在来種をより多く植える必要があります。言い換えると、アグロフォレストリーがマダガスカルの自然と共生しながら広がるために、農園内に一定以上の在来種を植えたい、というのが僕の願望です。しかし一方で、お金にならない植物を農園の中に植えることは農家にとっては簡単なことではありません。この課題をどうやって克服していけるのかを考えています。

今、頭の中にある答えの一つが、在来種を価値あるものにすることです。今は、金銭的な価値が認められていないものでも、潜在的な可能性に光を当てたりうまく商品化することで価値あるものとして評価されるかもしれません。例えば、マダガスカルでは薬草として使われているもしくは使われていた植物が多くあります。こういった植物の多くは地元の人たちには知られてはいるものの国際的にはまったく認知されていないものも多いです。また、野生の植物の中には芳香性があるものもあります。こういった植物を商品化することで経済的な価値を生み出すことができないか。そう考えています。

妄想はさておき、そもそもアグロフォレストリーのメリットを確認しておきたいと思います。まずは、アグロフォレストリーのリジェネラティブ農業(環境再生型農業)としての効果を示す動画をご覧ください。画面左側に広がるのが、森林が伐採され放置された土地です。下の方に小さな水田が見えますが、それ以外のところはほとんど活用されずに草原が広がっています。そこからアグロフォレストリーの農園に入ると景色が一変するのがわかると思います。木で覆われ、多様な植物が育っています。

マダガスカルは多種多様な生き物の生息地として世界的にも有名な島国です。一方で 生き物たちの生息地である森林の減少も深刻で、この半世紀のうちに森の4割が失われたといわれています。その主な理由は、焼畑や、薪とか木炭などの燃料の確保のためといわれています。これ以上の森林がなくならないようにするためには、この動画にあるような、放置された土地を再生して有効活用することがとても大切です。その方法として、 農家の収入確保しながら森を再生させることができるアグロフォレストリーが特に有効だと考えられます。

今回視察した農園の中には、積極的に在来種を育てているところもありました。農家の方にその理由を尋ねると、共通して返ってきた答えは建材にするというものでした。太くて長い木材をとるために植えているそうですが、十分に成長するまでには長い時間がかかります。次やその次の世代のために植えているんだという言葉が印象的でした。他には、薬草になるんだというものがあったり、鳥のために植えているんだという木もあったりしました。そういった農園の空には、偶然かもしれませんが猛禽類が旋回している姿も見られました。農園の中では、蝶やトンボがたくさん飛んでいるし、ヤモリや蛇などそれらを捕食するであろう大きな爬虫類もいます。運が良ければカメレオンを目にすることもあるんですよ!

アグロフォレストリーを外から見たところ。高木が茂る様子がわかる
案内していただいた農家のRaoelison(ラウエリスン)さん。彼の農園を見習っている農家も多く、この地域でアグロフォレストリーの祖父とも呼ばれている。