バニラの収穫に立ち会うのが難しいのには理由があります。それは、グリーンバニラの取引開始解禁日が毎年変動する、しかもその日がいつになるのか直前にならないとわからないからなんです。たとえば、去年は7月の中旬でしたし、僕が最初にマダガスカルを訪れた2017年は6月の下旬でした。そして今年は8月上旬。タイミングよく収穫の時期にマダガスカルにいられるにはよっぽどの運が必要です。もしくは長期滞在する必要があります。バニラは外貨の稼ぎ頭ですから、その取引は政府によって厳しくコントロールされています。グリーンバニラの取引の解禁期間、そして加工を終えたバニラを輸出できる期間は政府によって決められているんです。でもその政府の判断が政治的な要素にも大きく影響を受けるので、農家や加工業者、そして僕らのような輸入業者はいつも振り回されます。