アグロフォレストリー通信#23 三寒四温

Kurumiru/ 3月 25, 2025/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

三寒四温とは冬の時期に寒い日が3日ほど続いた後に比較的暖かい日が4日続き、また寒くなるというように7日周期で寒暖が繰り返される現象のことです。本来は中国で冬の気候の特徴を表す言葉として使われていましたが、最近では日本で春先に冬から春へ向かう時季を表す言葉としても使われます。ここのところまさに寒い日と暖かい日が繰り返されている感覚だったので、春に向かっているこの言葉を実感しています。
鴨川はすっかり春めいてきました。梅の花が至るところで咲き、山が梅のいい香りに包まれていく感じはとてもワクワクします。今年も梅の香りとバニラの香りをとじこめた、苗目の梅の花とCo・En Corporation のバニラのシロップを作成中です。ぜひ楽しみにしていてください。

梅が満開。春らしく良い香りを放っています。

春のお花見といえば梅、桃、桜。枝に花がいっぱいに咲く様子はとても綺麗です。なぜこれほどまでに魅力的だと感じるのか考えたところ、葉っぱがなく一面同じ色に染まるからだということに気がつきました。ふとなぜ葉っぱよりも先に花が咲くのか、気になりました。多くの植物は芽が出て葉っぱが茂って栄養を貯めてから花ひらきます。花は子孫を残す生殖器官。冬の間、葉っぱを落として、貯めた養分を消費していっていたのなら葉っぱを生やして、栄養を蓄えてから花を咲かす方が効率的なのではないか。そう思ったのです。調べてみたところ、花粉を媒介する昆虫にとって目立たせやすくするためという説、花粉を風で媒介するのに葉っぱがあると邪魔であるという説、実は同時に成長しているが冬に大きくなっていた分花の方が早く咲いているように見える説など様々な説が唱えられていました。どれが本当なのか、はたまた全てそうなのか、決定的な結論にはまだ至っていないようでした。植物や生き物の仕組みのメカニズムはまだまだ謎な部分も多いです。

実は梅や桜もただ暖かくなると咲くわけではないそうです。桜や梅の花芽は前年の夏に作られ、秋から冬にかけて休眠状態に入ります。寒さが厳しくなると刺激を受けて目覚め、開花に向けて成長が再開します。つまり寒さが不十分で「休眠打破」がうまく行われないと開花が遅れてしまうのだとか。春にかけて気温が上昇するに従って花芽が成長し、日最高気温の積算が一定の値に達すると開花します。全ての現象は気候、植物、生き物、全てが複雑に相互作用しあって成り立っているのだなと改めて感じます。

鴨川市にある菜な畑ロード、1万坪の菜の花。長く厳しい冬を超えて一斉に咲き誇る花々。その光景は春の訪れを祝福しているようにすら感じます。春になるとワクワクするのはこのせいなのかもしれません。

2025年3月24日
武田瑞季

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