アグロフォレストリー通信#8 アグロフォレストリーが生き物を救う?

Kurumiru/ 10月 24, 2023/ アグロフォレストリー通信/ 0 comments

アグロフォレストリーは環境だけでなく、その環境があることで、生き物を守る役割も兼ね備えています。実際にアグロフォレストリーを用いて、生き物との共存に働きかけるプロジェクトがボルネオ島で行われました。

以前の武田瑞季が行く!ボルネオの自然編で、ボルネオ島ではオイルパーム農園の開発により、オランウータンが絶滅の危機にあることを話しました。そこで、2020年5月から2023年4月まで、ボルネオオランウータンサバイバル(BOS)財団とBOSドイツ(BOS Deutschland)、フェアベンチャーズワールドワイド(FVW)により、混合アグロフォレストリーシステムの下で人間とオランウータンの軋轢を緩和するプログラムが実施されました。農家の脅威として射殺されてしまうことがあるオランウータンですが、野生のオランウータンは攻撃的ではなく、邪魔されなければ人間に危害を与えません。アグロフォレストリーがオランウータンの住む森と人が住む場所の緩衝帯となり、オランウータンの射殺と農家の損失を最小限に抑えることができれば、軋轢を緩和することができるのではないかと考えられています。
また、BOS財団の調査によると、荒廃地でアグロフォレストリーを造設したところ、森林の復活に伴い、137種の鳥類(5種から増加)と9種の霊長類を含む野生生物が再出現し始めたとのことです。

ボルネオ島のオランウータン

アグロフォレストリーは野生動物の住処となる森を生み出すだけでなく、野生動物と人のバッファー(緩衝帯)になることも期待されます。 野生動物が住む森のそばに急に民家があると、野生動物が民家まで侵出してしまい民家に直接被害が出てしまうこともしばしばあります。しかし、アグロフォレストリーが緩衝帯になることで、人と生き物のすみわけが期待できます。まだまだ研究が必要な分野ですが、少しずつ成果が出始めています。

マダガスカルのアグロフォレストリーで見つけた幸運の白いカエル。(突然変異で白いのか、はたまた新種かもしれません!)こういった生き物が住むことができる環境が出来上がることで、それを餌にするさらに大きな生き物が住まう豊かな場所になります。

2023年10月20日
武田瑞季

前回のアグロフォレストリー通信#07「ブラジルのアグロフォレストリー 」はこちらからご覧いただけます。

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